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塗料概論

塗料の歴史

 

1.塗料のはじまり

 

 塗料とは対象物を保護・美装、または機能を付与するために表面に塗りつける材料の事。

日本の塗料の歴史は古く漆塗りの副葬品が9000年前(縄文時代草創期)の地層から発見されています。

これが現存する日本最古の漆塗りとされてます。この日本最古の漆塗り製品が発見されたのは今から20年前の2000年でごく最近の発見です。

これが発見されるまでは約5000年~6000年前の製品が最古のものでした。

漆の塗料は、縄文時代から弥生時代、平安時代にわたり使われ続けます。

食器だけでなく、工芸品や建築にも使われました。

  はじまりは植物性塗料でした。

 

2.江戸時代

 

 江戸時代になり、漆以外にも塗料が出回ったとみられています。

木材の防腐作用をもつ柿渋や、数種類の材料を調合した塗料も出回りました。

たとえばニカワや乾性の油に松煙や弁柄などの顔料を調合したものです。

ニカワとは、動物や魚の皮や骨から抽出したコラーゲンやゼラチンを主な主成分としたものです。

乾性のあぶらは亜麻仁油やえごま油などで、傘などに使われることが多く、観光地などで売られている番傘には今でも使われています。松煙は松を燃やした灰のこと、弁柄は酸化した鉄の事で経年変化に強いとされてます。

 

3.黒船来航

 

 文明同様に塗料の歴史もペリーの黒船来航によって変化を見せます。

1853年、浦賀に来航し日本に開国を求めたペリーですが黒船には当時の日本では使われていなかった油性の調合ペイントが使われていました。

ペリーの黒船は木造船で防腐剤としてタールが塗装されていて初期の日本海軍の手本となりました。

幕府は、ペリーらの使節団との調印(日米和親条約)するための建物を洋式ペイントで塗るように町田辰五郎に命じたのがペンキ塗装の始まりでした。

ちなみにペンキはオランダ語のpekがなまったものと言われてます(諸説あるようですが)

 

4.明治時代

 

 明治5年にイギリスからの新技術導入で、新橋・横浜間に鉄道が開通し明治22年には、東海道前線が開通しました。

相次いで各地の鉄道が開通し、塗装の需要も広がりました。

日本で初めての鉄橋は明治10年六郷川の木造橋をつくりかえたのが始まりです。

これらの鉄橋には錆止め塗装が行われました。

日本における特許の第一号は1884年に認定された、「錆止め塗料及びその塗法」という堀田瑞松の生漆をベースとし柿渋や鉄粉などを素材にした塗料とその塗装方法に関するものだそうです。

塗装の歴史は特許の歴史にもつながります。

また当時の塗装業は最先端のハイカラは職業だったようです。

明治11年当時のペンキ28ポンド(12.7kg)缶が約3円でした。

ちなみにその当時、品川の土地が1坪あたり約2円

茂木春太、重次郎の兄弟が明治14年に光明社を創業し、ペンキの開発に取り組んだ。

動機はおしろいの鉛がもとで亡くなる人がたくさんいて無毒のおしろいを作ることでした。

苦心の末成功し、この経済的余裕でペンキの開発に取り組んだ。

のちに日本ペイントと改称し、本格的な洋式塗料の工業生産が始まりました。

現日本ペイントが、日本で最初の塗料メーカーといえます。日本の近代塗料産業時代はここから始まり、日清戦争・日露戦争の需要急増で船舶の塗料を中心に製造が拡大していきました。

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